糖尿病と合併症の関係
糖尿といわれたけれど自覚症状はないし、生活に何の支障もない、だから治療もやめてしまったという方もいます。
でも、もし何の治療もせず血糖が高い状態が継続すれば、合併症のリスクが格段に高くなります。
糖尿病になるとエネルギー源として利用されなかった余剰分の糖が血液内にたくさん流れ込みます。
血液はドロドロ状態になり、栄養素や酸素を体内に送ることが難しくなってしまいます。
血液の流れが悪くなると体のあちこちに支障が出始めます。
糖尿病網膜症は網膜に栄養を運ぶための血管が詰まり、網膜が弱くなります。
血管が詰まると新しい血管「新生血管」を作ります。
新生血管は新しく作られたばかりの血管なのでもろく破けやすく、これが破ければ網膜に重篤な障害をもたらすことになります。
糖尿病性腎症はドロドロ血液から老廃物を除去するために一生懸命働いてくれます。
もちろん腎臓も血液が必要となるため、腎臓内の血管も弱くなり腎臓自体の機能が低下すると腎症となってしまいます。
これが悪化すれば最終的には人工透析が必要となります。
週に2回から3回、毎回5時間かかる透析となれば生活に大きな支障が出るのは当然です。
神経症も同じで、血液から神経に必要な栄養素が届きにくくなり、神経が弱くなることで手足のしびれや感覚が鈍くなるなどの症状が出てきます。
これが悪化すると手足の感覚が無くなり、血液が末端まで届かなくなり、血流不足で壊死をおこし壊疽となって切断という最悪の状態となる方もいます。
この網膜症、腎症、神経症が糖尿の三大合併症といわれています。
このほかにも、脳や心臓に合併症を起こす方がいます。
血液が流れにくくなっていることで血管内に血栓が起こると脳や心臓に重篤な障害を引き起こします。
血液が流れにくくなると血管が固くなっていきより血液の流れが阻害されます。
血栓が脳内部の血管で起これば脳内出血となる恐れもありますし、心臓内部で起これば心筋梗塞となる可能性もあるのです。
脳や心臓に起る合併症は命の危険と隣り合わせです。
こうした合併症のリスクが高まることをよく理解し、合併症にまで及ばない生活を送ることが必要です。